かんとくは虫全般が大嫌い。触ることはおろか、見るだけで寒気がする。そんなかんとくの家の外壁に大きなカマキリが両手を広げてポージングを決めていた。カッコイイ。そう思い立った時には家の中からゴミ袋と軍手を引っ張り出し、気がつくと捕獲準備をしていた。カマキリ(のちにカマちゃんと命名)と数分睨み合った後に軍手をハメた手の上からゴミ袋を裏返して掴み取る。素早く袋を表返し監禁成功。ドキドキが止まらない。その足でユニディへと車を走らせ、虫かごを購入。カブトムシ用に置かれていた太い木もついでに購入。帰宅後、早速カマちゃんを虫かごにイン。そして息子達に自慢。息子達の目がキラキラ輝く。とーちゃんドヤ顔。息子達とカマちゃんの勇ましい姿に見惚れながらもふと気づく。エサがない。ネットやユーチューブで「カマキリ・飼育」と調べる。カマちゃんはどうやら生きた虫が好物のようだ。困った。虫嫌いのかんとくにはハードルが高すぎる。家の周りにいる小さなクモを捕まえることですら一苦労。どーしよう。でも息子達の手前、餓死という最悪の事態は回避しなければ。そんな悩みを抱えながら深夜に外でタバコをふかしていると、目の前にドス黒い物体が動いている。見覚えがある。恐らくは人間に最も嫌われているアイツ。茶羽根のヤローだ。そしてカマちゃんのエサとなりうる生物。やるしかない。空腹のカマちゃんにご馳走を。深夜1時にかんとくと茶羽根の戦いが始まった。続 |