野球が大好きです。ただ一人を除いて、みんな梅ちゃんより野球が大好きです。
隔月連載・「二宮清純派の宇宙企画deイこう」
スポーツコラムニスト・二宮清純派 10/08/09(月)06:37
ある夏の日、私はある草野球の試合を見ていた。
監督と呼ばれる男は野球初心者の様だった。
初心者ながらベンチで大声を出し続ける男に私は惹かれた。
彼はある選手の打席に入ると「稲葉ジャンプ」という応援を行っていた。
一緒に行っていたのはナベと呼ばれるメガネをかけていた青年だけだった。
その監督と呼ばれる男は、グローンウェルと呼ばれる日本人離れした色の黒い男が、
その応援に参加していないことに酷くご立腹だった。
また、一番打席で活躍している花ちゃんという青年にも
「ソーリャセー」と呼ばれる応援を送っていた。
ナベと呼ばれる青年は酷く気まずそうにその応援を共に行った。
そると打席に立つ花ちゃんという青年は「恥ずかしいから辞めてください」と言い放った。
その監督と呼ばれる男は酷くベンチで浮いていた。
その後その男は大人しくベンチでスコアを付けていた。
私はその男のつけたスコアをのぞいてみた。
一生懸命勉強したのだろう。
ただし、彼の書いたスコアは一生懸命書いたため
どこに飛んだのかはわかっても何塁打になっているのかは
書いた彼も読み返してわからない代物になっていた。
彼は試合にでないのだろうか?
最終回、彼は打席に立つことになる。
結果は見事な三振だった。
その後守備に就くが味方からの罵声が酷い。
彼は試合に集中していた。
試合に集中するあまり采配などどーでもよくなっていた。
まず、彼はひとつもサインを決めてなかった。
後のインタビューで「サインは決めてないけど、
幼少のころにかっとばせキヨハラくんの作者からサイン貰ったことあるぜ」
と嬉々として語っていた姿が悲しい。
試合後、彼はチームメイトに囲まれ罵詈雑言を浴びせられた。
彼はその状況で
「外野から指示が出せるか?内野ならマウンドに行ったわ」と逆ギレして逃げた。
チームでは彼の解任騒動が進んだ。
そんな監督と呼ばれる彼に現在の状況を聞いてみた。
「そんなことより、カープの復刻ユニ(達川No40)が届いたんだ」
監督と呼ばれる彼は嬉しそうに語った。